性の悩み、誰に相談する?悩み別相談先と「性とリプロダクティブヘルス」という考え方

性の悩み、誰に相談する?悩み別の相談先と「性とリプロダクティブヘルス」という考え方のイメージ

生理のことなら婦人科、というのはなんとなく分かる。
でも、セックスのときに痛い。婦人科で「体には問題ない」と言われたのに、痛みはまだ続いている。
パートナーとの性欲の差がつらい。
コンドームがちゃんと着いていたか、あとから不安になった。
症状はないけれど、性感染症の検査を一度受けておきたい。
子どもがほしいのかどうか、自分でもまだ決められない。

こういうことは、いったいどこに聞けばいいのでしょう。

「どこに相談していいか分からない。」横浜市で女性の困りごとを尋ねた調査で、婦人科系の不調を誰にも相談していない40代の女性が書いた一文です。夫との性生活の回数に悩む35歳の女性は、Yahoo!知恵袋に「あまりしつこくしても、、と我慢しています。」と書き込んでいました。悩みの中身は違っても、「誰に、どこまで話せばいいのか分からないまま、一人で抱えている」という状態は重なって見えます。

この記事では、性やからだの悩みをどこに相談すればいいのかを悩み別に整理します。そのうえで、フェムケアナビがカをいれている「性とリプロダクティブヘルス」という考え方を紹介します。

目次

相談の手前で止まってしまうのは、なぜ?

「恥ずかしがらずに相談しましょう」という言葉はよく見かけます。ただ、相談の手前で止まっている理由は、恥ずかしさだけではないことが多いようです。

これは「相談すること」なのか分からない

痛みや出血なら、医療の話だと分かりやすい。
一方で、「性欲が強い・弱い」、「セックスをしたくない」、「避妊の方法で迷っている」、「妊娠を望むか決められない。」
こうした悩みは病気ではないぶん、「婦人科に持ち込んでいいのかな」と迷いやすくなります。

性生活や気持ちまで、話すことになりそう

何に困っているかだけでなく、性について誰と何をしたのか、したいのか、したくないのか。相談すると、そこまで知られてしまう気がする。性のなかでも、とくにセルフプレジャーは話題にしにくいテーマで、パートナーとさえ「会話したくないので、全く話さない」と答えた女性は、どの世代でも約7〜8割にのぼります(月刊TENGA第51号)。

行った先で何が起きるか分からない

何を聞かれるのか、内診はあるのか、費用はいくらか、家族に知られないか。見えないことが多いと、「もう少し様子を見よう」が選ばれやすくなります。35〜59歳の女性を対象にした調査では、かかりつけの婦人科医がいない人のうち67%が婦人科の受診に抵抗を感じ、52%が「怖い」と答えていました。

どれか一つでも当てはまるなら、足りないのは勇気ではなく、「どこに、何を、どこまで話せばいいか」という情報なのかもしれません。

相談は「受診」だけではない

相談というと、婦人科の診察室を思い浮かべる人が多いと思います。実際には、入口はいくつもあります。自治体の相談窓口で話を聞いてもらう、保健所で匿名の検査を受ける、薬局で薬剤師に薬のことを聞く、そして婦人科で症状を診てもらう。どこから始めるかは、悩みの種類と、どこまで話したいかで選べます(次の章で悩み別に整理しています)。

病名が分からない段階でも始められる

「何の病気か分かってから行くもの」と考えると、原因が分からない悩みほど相談が遠のきます。実際には、「いつから」「何に困っているか」が言えれば、相談は始められます。何科に行けばいいか分からない段階の悩みを受け止めるために、都道府県などの自治体には「性と健康の相談センター」という窓口も設けられています。

その日に答えを決める場ではない

避妊をどうするか、子どもを持つか、治療を始めるか、パートナーとどう向き合うか。相談したらその場で決めなければいけない、と感じると足が止まります。相談は、選べる道を知るための場として使うこともできます。「まだ決めていないけれど、どんな選択肢があるか知りたい」と最初に伝えておくと、話の進め方が変わります。

話す範囲は、自分で選べる

性交や避妊については、診察や相談に必要な範囲で伝えれば足ります。口に出しにくいことは、問診票やメモに書いて渡す方法もあります。婦人科でも内診が必ず行われるわけではなく、不安があれば予約のときや診察の前に伝えられます。初診の流れや内診への不安、女性医師を選ぶ方法については「[初めての婦人科、何を準備すればいい?内診への不安と「女医さんを選ぶ」という選択肢](https://i-comi.com/base-femcare/gynecology/)」で詳しくまとめています。

悩み別:最初の相談先はどこ?

こんなとき最初の相談先 そこでできること知っておきたいこと
痛み・出血・おりもの・かゆみなど気になる症状がある、避妊や妊娠の可能性について診てほしい婦人科・産婦人科診察・検査・治療、低用量ピルなどの処方 症状があって受診する場合は原則保険診療。検診など一部は自費
何科か分からない、妊娠したい・したくない・まだ決められない、性の悩みを話したい性と健康の相談センター(自治体)病名がつく前の段階の相談、合う窓口の案内費用や匿名で相談できるかは自治体ごとに異なる
症状はないけれど、性感染症が心配保健所・自治体の検査匿名での検査HIV検査は無料・匿名。ほかの検査項目や費用は地域で違う
飲んでいる薬の飲み合わせ、ピルの飲み方薬局の薬剤師薬の説明、飲み合わせの確認症状の診断はできない
仕事や家の事情で通院が難しいオンライン診療避妊や月経などの相談、処方 匿名ではない。内診や検査が必要なら対面へ
同意のない性的行為、画像の撮影や拡散性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(#8891)医療・心理・法律の支援、警察への同行などへつなぐ通話料無料。警察に届けるかどうかは、相談してから決められる
予期しない妊娠、DV、住まいや家族の問題も重なっている女性相談支援センター(#8778)生活面を含めた相談地域によっては#8778がつながらない場合がある

窓口を探すときは、次のページが使えます。

最初に選んだ窓口が合っていなくても、そこから適した窓口を教えてもらう、という使い方もできます。性感染症の検査は、症状がある場合や、パートナーの感染が分かった場合は保健所ではなく医療機関が向いています。

「性とリプロダクティブヘルス」とは?このサイトが性の話をする理由

ここまで挙げてきた悩み
「生理、避妊、セックス、性欲、妊娠、性感染症、年齢による変化」は、ばらばらに見えて、実はひとつの言葉でまとめて考えられています。それが「性と生殖に関する健康(セクシュアル・リプロダクティブヘルス)」です。

この考え方が国際的に示されたのは、1994年にエジプトのカイロで開かれた国際人口開発会議です。そこでは、性と生殖に関する健康を「病気がないこと」だけでなく、性と生殖にかかわる身体的・精神的・社会的に良好な状態として定義し、満足できて安全な性生活を送れること、子どもを持つかどうか、持つならいつ、何人かを自分で決められることまで含めました。WHO(世界保健機関)も現在、避妊、妊娠・出産、性感染症、性暴力、安全で健康的な関係づくりまでを含む広い領域として扱っています。

難しく聞こえますが、言い換えると次の4つです。

  • 知る:自分の体に何が起きているかを知ることができる
  • 相談できる:必要な医療や支援にたどり着ける
  • 選べる:避妊をするか、子どもを持つか、セックスをするかしないかを、自分で決められる
  • 同意が尊重される:自分の選択と同じように、相手の体と選択も尊重される

「満足できる性生活」は、健康の定義に入っている

この定義で見落とされやすいのが、「満足できて安全な性生活」という部分です。性の悩みというと、病気や妊娠のトラブルばかりが思い浮かびますが、性欲や心地よさ、パートナーとの温度差も、健康の話の一部として扱われています。

フェムケアナビがセルフプレジャーやアイテムの話を取り上げているのも、この考え方に立っているからです。TENGAの調査では、セルフプレジャーに「気持ちいい」というイメージを持つ女性はどの世代でも3割以上、若い世代では「ストレス解消、リラックスできる」という回答も2割台にのぼりました(月刊TENGA第50号)。

隠すものとしてではなく、自分の体と気持ちを大切にする方法の一つとして話せる場所があってもいい。この「フェムケア ナビ」ウェブサイトも、そのために作りました。

「産むかどうか」だけの言葉ではない

リプロダクティブ(生殖)という言葉から、妊娠や出産の話だと受け取られることもあります。ただ、この考え方は、妊娠を望む人にも、望まない人にも、まだ決められない人にも、そして妊娠や出産とは関係のない年代の人にも向けられたものです。内閣府も、生涯を通じた性と生殖に関する健康と権利として説明しています。

さくらママがこのサイトを始めたきっかけは、更年期の症状が出ていたのに、それが更年期だと知らずに不快で不安な日々を過ごした経験でした。知っていれば、もっと早く誰かに相談できたかもしれない。更年期の体の変化や性の変化も、同じ「性とリプロダクティブヘルス」の中にあります。

「ライツ(権利)」について

この考え方は「性と生殖に関する健康と権利(セクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツ)」とセットで語られることが多い言葉です。権利の側面、たとえば避妊や人工妊娠中絶、性教育のあり方などをめぐっては、社会の中にさまざまな意見があります。フェムケアナビが扱うのは、どの選択が正しいかではなく、一人ひとりが自分で選ぶために必要な情報とその相談先です。

早めに相談したいサイン

多くの悩みは、落ち着いて相談先を選べば間に合います。ただ、次のような場合は、時間をおかずに動いてください。

すぐに救急へ(状態が強ければ119番)

  • 妊娠の可能性があるときの、突然の強い下腹部の痛み、肩の痛み、めまいや気が遠くなる感じ(出血を伴うこともあります)

その日のうちに婦人科などへ

  • 強い下腹部の痛みと発熱がある
  • おりものが急に増えた、においが強く変わった
  • 歩くのがつらいほど痛む

気づいた日のうちに

  • 避妊をしなかった、コンドームが破れた・外れた、ピルを飲み忘れたなどで、妊娠を避けたい(下の「緊急避妊薬」を参照)

安全を確保したら、すぐに

  • 同意のない性的行為を受けた。
    危険が続いているなら110番、けががあれば119番。医療や心理面の支援には#8891が窓口になります

早めに予約して婦人科へ

  • 月経以外の時期の出血、性交のあとの出血が続く・繰り返す
  • 排尿時の痛み、外陰部のただれや水ぶくれがある、パートナーの性感染症が分かった
  • 性交のときの痛みが続く、強くなっている
  • 性感染症は、症状が出ないまま進むこともあります。「症状がないから大丈夫」とは限らないため、心配な機会があったときは、検査という形で確かめる方法があります。

避妊できなかったときの「緊急避妊薬」

さくらママも30年以上前、身近な人から「パートナーに生理が来ないと言われた。どうしたらいい?」と相談されたことがあります。そのときは、妊娠検査薬を試してみて、と伝えるくらいしかできませんでした。どこに相談すればいいか分からないのは、本人だけでなく、相談された周りの人も同じです。今は、生理が来るのを待つ前に選べる方法があります。

  • 性交から72時間以内に飲む薬です。早く飲むほうがよいため、時間ぎりぎりまで待たずに早めに対応します8
  • 2026年2月から、厚生労働省の一覧に載っている薬局・ドラッグストアで、処方箋なしで購入できるようになりました。研修を受けた薬剤師の前で、本人がその場で服用します
  • 在庫や薬剤師の勤務状況によって対応できない場合があるため、行く前に電話で確認すると確実です(取扱薬局の一覧(厚生労働省)
  • 婦人科やオンライン診療でも処方を受けられます
  • 服用しても妊娠の可能性はゼロにはなりません。3週間後をめどに、妊娠検査薬か受診で確認します

相談の前に、メモしておくと伝えやすいこと

いざ相談することになった時に緊張すると、聞きたかったことを忘れてしまいがちです。スマホのメモに、次のことを書いておくだけでも伝えやすくなります。

  • いつから、何に困っているか
  • 最後の月経が始まった日と、いつもの周期
  • 性交や避妊について、必要な範囲で
  • 今飲んでいる薬、サプリ
  • 今日いちばん知りたいこと
  • してほしくない検査や、不安に思っていること

まとめ

性やからだの悩みは、病名がついてから、答えが決まってから持ち込むものではありません。「これって誰に聞けばいいんだろう」と思った時点で、相談の入口にはもう立っています。

性とリプロダクティブヘルスは、正しい生き方を示すための言葉ではなく、自分の体について知り、必要なときに相談し、自分で選ぶための言葉です。いきなり婦人科を予約しなくても、窓口のページを一つ開く、メモを一行書く、そこから始める人もいます。自分の体と気持ちを後回しにせず、選べる道を一つずつ知っていくこと。それも、フェムケアナビが考える「自分をいつくしむこと」の一つです。

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【参考にした情報】

※相談窓口の受付時間・費用・緊急避妊薬の取扱薬局は、2026年9月30日時点の情報をもとにしています。変更されることがあるため、利用前に各窓口の公式ページでご確認ください。

※本記事は情報提供を目的としており、診断や治療を行うものではありません。気になる症状がある場合は、自己判断せず婦人科等の医療機関にご相談ください。

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この記事を書いた人

さくらママ
femcare naviの中の人。50代。
「ママ」といっても子育てママではなく、ちょっと話を聞いてほしいときに頼りたくなる飲み屋のママのような存在。
自身も子宮筋腫や更年期など女性ならではの身体の変化を経験したため、フェムケアについて勉強しました。
自分が経験したことからわかる、不安な気持ちをやわらげるサポートになればうれしい。

取得資格:認定フェムテックアンバサダー
一般社団法人日本フェムテック協会

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